【獣医師監修】愛犬の夏バテ対策になる食事・食材を紹介!夏バテチェックリストも
夏になると食欲が落ちたり何となく、元気が出ないなど「夏バテ」に苦しむ方も多いと思いますが、実は犬にも「夏バテ」と似たような症状が見られます。
犬は毛で全身が覆われている上に、汗をかいて体温を下げることができないため
暑さに非常に弱い動物です。
本記事では、犬の夏バテチェックリスト、夏バテ対策になる食事の与え方、食材、NG食材までご紹介するので、ぜひこれからの季節の参考にしてください。
犬の夏バテのチェックリスト
犬の夏バテでは主に以下の症状が見られます。当てはまる場合は要注意です。
【犬の夏バテチェックリスト】
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動物における「夏バテ」と「熱中症」の言葉の違いは定義されていませんが、
暑さによって元気を失うのが「夏バテ」、暑さによって生命維持に重篤な問題を及ぼす状態が「熱中症」と考えるとわかりやすいかもしれません。
夏バテの状態を放置すると、食欲低下による栄養失調や脱水、最終的には熱中症に発展する可能性があるため、決して侮ることはできません。
愛犬の夏バテ対策になる食事の与え方3選
愛犬の夏バテ対策になる食事の与え方①:水分多めのフードに切り替える
ドライフードは栄養バランスに優れ、噛むことで歯垢を落とすため犬にとって理想的なフードと言えます。
一方で、夏バテで犬の食欲が低下している時にはドライフードではほとんど食べてくれない子がいます。
そんな時は、水分多めのウェットフードに切り替えたり、ヤギミルクなどでフードをふやかして食べさせるのがおすすめ。
獣医師としては、犬猫の水分補給用ゼリー「Gelletta (ジュレッタ)」もおすすめです。
Gellettaは「食べるお水」というコンセプトのもと、愛犬愛猫に適量の水分補給をさせるために開発されたゼリーの素です。
食いつきも良く、1日に必要な水分を摂取でき、夏バテ・熱中症予防になるため、いつものフードにゼリー(ジュレッタ)を添えたり、スープ状にしてフードをふやかして与えてみてください。
普段から水分不足を感じているコ、尿石や膀胱炎が心配なコなどにもおすすめです。
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愛犬の夏バテ対策になる食事の与え方②:野菜や豆腐を加える
愛犬の食欲がない時は、いつものフードに新鮮な野菜や豆腐を加えるのがおすすめ。
大根やにんじん、キャベツ、かぼちゃなどの野菜は水分やビタミン、食物繊維が豊富で犬も安心して食べることができます。
豆腐もカロリーが低くて太りにくい上に、食感を好む犬が多いのでトッピングに適しています。
また、食材やおやつをトッピングする際はトッピング分のカロリーを計算して、その分のドッグフードは減らして食べさせてください。いつもの食事量にトッピングをするとカロリー過多になって肥満の原因となります。
食物アレルギーを持つ場合は、かかりつけの獣医師に相談してからトッピングする食材を決めましょう。
愛犬の夏バテ対策になる食事の与え方③:1回の食事量を減らす
1日2回フードを与えている場合は、1回の食事量を減らして1日3~4回にフードを分けて与えることも夏バテで食欲が低下した時に有効です。
食事量を減らすことで消化管の負担を減らし、食欲が比較的なくても完食することができます。
犬は空腹を感じると空腹時嘔吐 (胆汁嘔吐症候群)といって、胆汁が混じった黄色い胃液をを吐くことがあるので、朝イチの食事は朝早めに与えるようにしましょう。
愛犬の夏バテ対策に!おすすめの食材3選
愛犬の夏バテ対策に、普段のごはんにトッピングを加えたり、おやつとして水分や栄養分になるものをあげる飼い主さんも多いようです。
基本は人間と同じで、夏の旬野菜や果物が夏バテ対策になると言われています。その中で愛犬にはどんな食材がいいか、おすすめの食材を3つに絞って紹介します。
トマト
トマトの特徴
トマトは、栄養価が高いだけでなく、水分含有量も高いため、夏バテに不足しがちな栄養と水分を同時に摂取することができる夏バテ対策にぴったりの食材です。
トマトの成分で最も有名なリコピンは、トマトの赤い色素であるとともに強力な抗酸化物質です。
抗酸化作用により、老化予防だけでなく、心血管疾患のリスクを軽減、がん予防にも効果があるとされています。
ビタミン群の中では、ビタミンCが豊富で、免疫力の向上や皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。さらに、ビタミンAの前駆体であるβ-カロテンも含まれており、これにも抗酸化作用があります。
カリウムも多く含まれており、利尿作用などによって血圧の調整に役立ちます。
低カロリーのため、ダイエット中の愛犬にも与えやすく、おやつとして与えても問題ありません。
トマトのおすすめの与え方
トマトの一番の特徴である抗酸化成分リコピンは、熱に強いため、加熱によって効果が完全に失われることはありません。
消化しやすいように小さくカットして火を通し、水分を足してスープにしてあげるのも良いでしょう。
トマトの皮は消化しにくい場合もあるので、湯むきや皮むきをしてあげると食べてもらいやすいかもしれません。愛犬の好みに合わせて工夫は自由です。
注意が必要なのは、完熟したトマトの実のみを使用するということです。未熟なトマトやヘタ、茎、花、葉にはトマチンという犬にとって毒性のある物質が含まれていますので、与えないようにしましょう。
レバー
レバーの特徴
レバーは犬の嗜好性が高く、夏バテで食欲が落ちてしまった愛犬の元気を取り戻してくれる食材といえます。
栄養価も高く、特にタンパク質とビタミン、ミネラルが豊富です。なかでもビタミンB1などB群が豊富で、補酵素としてエネルギー代謝をサポートし、神経系の健康を保つ役割があります。
この補酵素は、摂取されたエネルギーを体内で使うために必要です。エネルギー源だけを摂取しても体内で使えなければ意味がありませんから、不足しないよう気を付けることが大事です。
レバーには鉄分も多く含まれており、特にヘム鉄として吸収率が高いため、貧血予防に効果的です。亜鉛や銅といったミネラルも含まれ、これらは酵素の働きを助け、細胞の成長や修復に関与します。
また、レバーには犬の必須アミノ酸10種類がすべて含まれているため、効率よく栄養を取ることができます。
レバーのおすすめの与え方
レバーは必ず加熱してから与えてください。加熱することで食中毒を防げます。人用の新鮮なレバーを使いましょう。
おすすめは、ペースト状にして、主食としてではなくトッピングやおやつとしてあげることです。少量でも十分にスタミナのキープが期待できます。
レバーは嗜好性が高いため、愛犬が1度味を覚えると何度もおねだりされ、ついついたくさんあげてしまうかもしれませんが、過剰摂取には要注意です。
レバーにはコレステロールや脂肪が豊富で、肥満の原因となってしまうことは否定できません。さらに、継続的かつ大量にレバーを食べてしまうと、ビタミンA中毒を引き起こす可能性もあります。
きゅうり
きゅうりの特徴
きゅうりは水分含有量が非常に高い野菜であり、約95%が水分です。そのため、体の水分補給や熱中症予防に役立ちます。
カロリーが低く、100グラムあたり約15キロカロリーしかありませんので、ダイエット中の犬にも適しています。
他の食材と比べて、栄養豊富とは言い難いですが、脂肪の分解促進に役立つホスホリパーゼや、抗酸化作用のあるビタミンA、血液凝固や骨の健康に重要な役割を持つビタミンKや、体内のナトリウムバランスを整え、血圧の調整をするカリウムが含まれています。
低糖質であるため、血糖値の管理にも適しています。利尿作用によりむくみの改善としても知られており、体を冷やす効果があるため夏バテ対策の食材としてはよく例として挙げられる野菜の1つです。
サクッとしたその食感がクセになり好んで食べる子もいるようです。腎臓や心臓に持病がない子であれば、加熱の必要もないため、手軽に試してみてください。
夏バテで食欲が落ち、とりあえず何か口にしてほしい時や、固形のものなら口にしてくれるけど水分補給もさせたいという時におすすめです。
きゅうりのおすすめの与え方
きゅうりは生のままあげても問題のない食材です。また、皮ごと与えても大丈夫ですが、消化器が弱い子やシニア犬は心配であれば皮を取り除きましょう。
大量に与えると下痢の原因となるため、おやつやトッピングがおすすめです。
例えば、皮を剥いたうえ、薄く切ったりみじん切りにしていつものごはんにトッピングすることで、食感を保ったまま丸のみするリスクを防げます。
また、少量のきゅうりが原因で高カリウム血症となる可能性は低いですが、不安な場合はきゅうりを水につけておくことで、カリウムが水に溶け、カリウム摂取量を減らすことができます。
愛犬が夏バテした際にNGな食材は?
アボガド
愛犬にアボガドを与えないでください。
アボガドは、産地や品種によっては夏に旬を迎えるものもありますが、犬にとっては有害です。
「世界一栄養価の高い果物」としてギネスに認定されているアボガドは、たんぱく質が豊富で、美容でも話題の不飽和脂肪酸や、疲労回復に欠かせないビタミンB群、抗酸化作用のあるビタミンEなど、ヒトにとっては夏バテ対策にうれしい成分が含まれている食材です。
しかし、アボカドにはペルシンと呼ばれる脂溶性の化合物が含まれており、これが犬にとって毒性を持ちます。
ペルシンは特にアボカドの果肉、種、皮、葉に存在し、犬が摂取すると嘔吐、下痢、腹痛、呼吸困難といった症状が出ることが海外や日本で報告されています。
ペルシンは犬だけなく猫やうさぎ、牛や馬にも有毒であり、鳥類に関しては摂取後数時間で死に至る場合も。
他にも、種の誤飲により腸閉塞になってしまったり、アボガドのタンパク質にアレルギー反応を起こしてしまったりと、犬にとっては得られる栄養価よりリスクの方が高い食べ物です。
いちじく
いちじくは、犬にとって有毒であるため絶対に与えてはいけません。
いちじくには水溶性食物繊維のペクチン、ビタミンB群やビタミンC、ポリフェノール、女性ホルモンと同様の機能を持つ植物性エストロゲン等が含まれ、暑さが長引く夏の終わりの夏バテ対策食材として選ばれることもあります。
犬にとって有害である代表的な物質が2つあります。フィシンとソラレンです。
犬がフィシンを摂取すると、口や喉の粘膜が炎症を起こしてただれてしまうことがあり、これがさらなる消化器系の問題を引き起こす可能性があります。
ソラレンは、紫外線吸収率を高めることでメラニン色素を生成する、光毒性というものをもつ物質です。犬には強い影響を与えてしまい、下痢や嘔吐が続いて脱水症状となってしまう危険性があります。
夏に愛犬に食事を与える際に注意して欲しいこと
ドッグフードが腐っていないか確認する
特にウェットタイプのドッグフードは、夏場の高温多湿な環境下では非常に腐りやすいです。朝ご飯として与えたものが夕方ごろまで残っていた場合は必ず新しいフードに取り替えましょう。
ドライタイプのドッグフードには脂質が多く含まれています。脂質は長時間部屋に置いておくと空気中の酸素によって酸化して過酸化脂質という物質に変化します。
過酸化脂質は使い古したアブラのようなもので、人において動脈硬化やがんの原因になることが知られているため、ペットにも食べさせない方が安全です。
パッケージ裏面に正しい保管方法が記載されているため、その指示に従って保管しましょう。一見、腐っていないように見えても賞味期限が切れているものは与えてはいけません。
食欲の変化に注意する
犬も人間同様に夏バテになることがあります。夏バテになって食欲が低下すると
十分なカロリーや栄養素を摂取できなくなるため、夏場は特に愛犬の食欲に注意しましょう。
食事を涼しい朝や夕方に与えると、食欲が出やすいため試してみてください。また、常に新鮮な水が飲める状態にしておき、脱水を予防しましょう。
犬に必要な水分量は体重1kg当たり50〜60ml (体重5kgの犬なら250〜300ml程度)と言われています。
愛犬の食欲・水分摂取量を常に意識して、夏バテを予防しましょう。
まとめ
犬も夏バテになるということを知らない飼い主様は意外に多いですが、1年中暑い毛で被われている犬は暑さに弱い動物と言えます。
犬の夏バテは食欲を大きく低下させるため、クーラーを適切に使用したり、水分補給用ゼリーGelletta (ジュレッタ)のようなおやつや野菜をフードにトッピングして食欲の低下を防ぎましょう。
夏は犬にとって1番辛い時期なので、ぐったりしている様子が見られたり食欲が低下していたらすぐに動物病院を受診することが大切です。
著者情報 | 獣医師監修
◆獣医師もも
北海道大学獣医学部を次席卒業後、関東の動物病院に勤務。日本獣医師会会長表彰受賞。幼少期から鳥やウサギ、犬などに囲まれて暮らし、獣医師を志しました。
動物に関する正しい情報を発信したいという想いから、自身のブログ「獣医師ももブログ」 を立ち上げ、日々ブログを更新しています。
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◆獣医師ニノマユ
獣医師免許を取得後、都内動物病院にて小動物臨床に従事。その後はペット損保会社にて保険査定や犬猫~エキゾチックアニマルまでの健康相談業務などを担当しておりました。現在は、動物業界の課題について広く視野を持ちたいという想いでweb業界にて働いています。大学時代は動物行動管理学研究室に所属。一番好きなのは羊で繁殖~出荷を経験しました。