【獣医師監修】猫がご飯は食べないのに水は飲む理由は?対処法も解説

猫がご飯は食べないのに、水は飲む理由3選

猫の食欲がない気がする、いつもは食べてくれるご飯を食べてくれない、そんな時とても心配になりますよね。「猫がご飯は食べないけど水はよく飲む」という場合がよくあります。この場合、まず病気を疑う前に考えておくべき理由3点をまとめました。

性格や習性・体質

猫の性格や体質によっては、少しずつ時間をかけてでないと食べないという子や、出されたご飯はすぐ一気に食べるという子まで様々です。また、気分によって食べたり食べなかったり、同じ環境下や同じご飯でも食欲が安定しない猫もいます。これは、ヒトでも当てはまることかもしれません。

飼い主さんが注意できることとしましては、普段から食欲にムラがある子なのか、どんな食べ方をする子なのか観察しておくということだと思います。

”異常”を察知するには”正常”を理解することが大事です。愛猫の”正常”が他の猫の”正常”とは限らないという点が難しいですね。

嗜好性の変化

嗜好性とは、それぞれの猫の好みの傾向のことをいいます。猫はもともとご飯へのこだわりがある、偏食の傾向がある動物です。ちょっとした理由でより偏食性が強くなってしまうこともあります。

ちょっとした理由とは、次の項目にて挙げる「環境の変化」によるものの場合もあれば、おやつをあげすぎてしまった場合、単に猫がいつものご飯に飽きてしまったという場合もあります。同じご飯でも、温度や香りに違いがあると食べないことも。

また、加齢でも猫の嗜好性は変化します。視覚や嗅覚などの感覚器が加齢によってが衰えることで、ご飯の匂い等を感じづらくなり、好みが変わるのです。猫にも、年をとって今まで大好きだったご飯を食べなくなってしまうということはよくあります。

環境の変化

猫は環境の変化に敏感です。個体差はありますが、具体的には以下のような環境の変化がストレスの要因になり、食欲に関わります。

【猫の食欲に影響する環境ストレス要因】

  • 引越しした
  • 食べる部屋が変わった
  • 部屋の匂いが変わった
  • 模様替えをした
  • 食器が変わった
  • 食器の位置が変わった
  • 家に新しい人間が増えた
  • ご飯をあげる人が変わった
  • 他動物が近くにいる
  • 雑音が大きい
  • 季節による気温や湿度の変化
  • 外出した
  • 最近動物病院へ行った
  • 最近ペットホテルに預けていた


すべての猫が上記すべての変化にストレスを感じるわけではありません。しかし、猫はこのようなストレスに弱い傾向があるため、猫の食欲が減った際はこのような変化がなかったかチェックしましょう。

一時的に食欲が減退しても環境に慣れて食欲が戻ったというケースがほとんどなので、人間側が過剰に神経質になる必要はないです。

気分屋が多い猫ですが、観察しているとその子独特の行動パターンや習慣を見出すことができます。

「いつも」「普段」「正常な時」はどのくらいどのような食べ方をしますか?水はどのくらい飲んでいるでしょうか?この辺りは動物病院の担当獣医師より飼い主さんの方が把握していることです。

このような飼い主さんからの情報が、病気かどうか診断する助けになることがありますので、日常のふれあいの中で見守りつつ観察してもらえればと思います。

猫がご飯は食べないのに水はよく飲むときに考えられる病気3選

猫が水は飲むのにご飯は食べないとき、上記の理由以外に何かしらの病気である場合もあります。食欲不振はあらゆる病気に付随するため、動物病院では、食欲がない以外に症状がないか、水を飲む量は正常か、動物種や年齢等、様々な情報を基に病気を診断します。

水は飲むのにご飯は食べないというだけでは鑑別すべき疾患は無限にありますが、今回は次の3つに絞ってまとめました。

口腔内の異常

猫特有の慢性口内炎があります。炎症により口内に痛みが出るため、食欲はあるけど食べられないという状態になります。

痛みのせいで毛づくろいや顔を洗うことに支障が出るため、猫の毛づやが悪くなったり毛玉が多くなったり、顔周りがベトベトに汚くなってしまいます。

動物病院での治療と並行して、定期的に口周りを拭いてあげることやご飯を柔らかくするなど、お家でのケアが必要です。

口内炎は歯肉炎を伴うことが多く、完治が難しい病気でもあります。歯肉炎・歯周病は人間と同じく歯垢や歯石の蓄積によって細菌が増殖し、炎症が進んでしまう病気です。

一方、口腔内の外傷が原因となることがあります。特に外に出る猫の場合、交通事故に遭い、実は下顎骨折していたということも。他の猫との喧嘩で咬まれて発熱してしまい食欲がなくなるということもあります。外から帰ってきた猫が急に食欲がなくなったら注意してください。

熱中症

昨今、日本の夏はさらに暑くてジメジメしていますよね。高温多湿で換気が不十分な場所に長く居ると、猫も熱中症になります。

具体的な症状としては、呼吸が荒くなる、元気・食欲がなくなりぐったりする、失禁する、といったことが起こります。

突然高体温になり、虚脱することもあります。人間の熱中症と同じくまずは体温を下げることが基本です。 冷水や氷枕などをあてて応急処置をし、なるべく早く動物病院へ連れていきましょう。

応急処置で元気になったように見えても、その後急変することはめずらしくありません。軽度の熱中症でも、気温や湿度の上昇で具合が悪くなり、食欲がなくなる猫が多いです。

ウイルス感染症

猫の代表的なウイルス感染症として挙げられるのは、猫白血病、猫免疫不全症候群、猫カリシウイルス感染症、猫伝染性鼻気管炎などです。

ワクチンで予防できる病気もあります。それぞれの病気の詳細は割愛しますが、これらが口内炎の原因となったり、口腔内に限らず鼻・のどに異常をもたらしたり、リンパ腫や貧血の原因となります。

ウイルス感染症は、どちらかというとその病気のせいで食欲がなくて食べられないという状態といえます。

水は飲むのに猫がご飯は食べない場合、多飲がどうか、つまり水を過度に飲みすぎていないかどうかも注意が必要です。薬の副作用や、ホルモンの病気、腎臓の病気などでその症状がみられます。

猫を食欲不振と判断する基準

猫の飼い主さんが知っておいたほうがいい食欲不振の知識についてまとめました。

猫の正常な食欲とは

食欲不振という異常を察知するために、まずは正常な食欲を理解しておきましょう。
猫の正常な食欲とは「猫が理想体重・標準体型を維持するために必要とする食欲」のことです。正常ではない食欲、つまり食欲の異常には「食欲不振(食欲減退)」だけでなく「食欲増進」も含まれます。

標準体型を維持するために必要な食事の量は、猫の体質や年齢によって異なるため個体差があります。やはり正常な食欲を最も把握できるのは飼い主さんといえるでしょう。

理想体重・標準体型かどうかをチェックする方法としてボディコンディションスコア(BCS)という目安があります。

参考)環境省_パンフレット「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」

獣医師が触診によって判断するのが正確ですが、飼い主さんがお家で確認することも可能です。一番わかりやすいのは以下の2つだと思います。

  1. 肋骨(あばら)をどのくらい触れるか
  2. 上(背側)から見たときのくびれ

触らせてくれる猫の場合は是非チェックしてみてください。

食欲不振の定義と基準

食欲不振とは、いつもより食べるご飯の量が減った、食べなくなったという状態のことです。

特に獣医学的な定義が明確に定められているわけではありません。獣医師が飼い主さんに問診する際に、猫が元気かどうかの目安の1つとすることもあります。

全く何も食べない、食に関心すら示さない場合は食欲廃絶といいます。
元気で正常なときの食欲を10とし、食欲廃絶を0としたとき、現状どのくらいの食欲不振なのか数字で考えてみるのもいいと思います。このあたりは、いつも愛猫と一緒にいる飼い主さんの主観で問題ありません。

持続的な食欲不振

一時的な食欲不振、例えば1食分食べなかっただけという場合は問題ありません。いつから食欲不振なのか、それがどのくらい持続しているのかという点が大事です。

どのくらい続いたら食欲不振と認識していいのかの目安を、日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)が提示していますので参考にしてください。

■これ以上持続すれば食欲不振

年齢 食べていない時間
1-2カ月  8時間
2-3カ月 12時間
3-4カ月 16時間
1歳以上 24時間

参考)猫の病気|JBVP-日本臨床獣医学フォーラム

 だいたい子猫では半日、成猫では1日と覚えておくといいかもしれません。人間の感覚でまだ大丈夫だろうという判断は良くないということがおわかりいただけるかと思います。日々食事の状態を管理するのも飼い主さんの役割です。

猫がご飯を食べない!何日まで大丈夫?

猫がお水やご飯を何日間は食べなくても大丈夫という明確な基準をありません。なぜなら、猫の体力や年齢、活動量によって大きく異なるからです。

お水は飲んでいるけどご飯を全く食べないというのは猫でよくあることで、猫の味覚はかなり発達しているため、続けて同じご飯を与えていると味に飽きてしまって一時的にご飯を食べなくなることがあります。

一般的に、健康な成猫であれば、1〜2日程度はご飯を食べなくても大丈夫なことが多いです。

危険なのは、子猫や老猫、闘病中などで体力が落ちた猫が1日以上食べないパターンです。この場合、半日食べないだけで、低血糖を起こすことがあるため、
半日以上飲まず食わずの場合は動物病院を速やかに受診してください。

また、肥満気味の猫が突然、3日〜7日程度ご飯を食べなくなると肝臓に脂質が蓄積して肝臓の機能が低下する肝リピドーシスという病気を発症することがあります。肝リピドーシスは無治療で放置すると死亡するケースもあるため、肥満気味の猫が突然ご飯を食べなくなった時は、様子を見ずに速やかに動物病院を受診しましょう。

まとめると・・・ ご飯は食べないが、水は飲んでいる場合

  • 成猫は1~2日様子を見ても大丈夫なことが多い
  • 子猫や老猫、闘病中の猫は半日食べない時は動物病院へ
  • 肥満気味の猫が突然食べなくなると、肝リピドーシスという致命的な病気になることがあるため、速やかに動物病院へ

 

猫がご飯を食べない!ほっとくとどうなるの?

ご飯を食べないと生きていくために必要なエネルギーを補給することができません。
数日間食べない程度であれば、体内に貯蔵した筋タンパク質や体脂肪を分解してエネルギーを確保しますが、これには限界があります。

長期間フードを食べないとやがてエネルギー不足となり、低血糖や免疫の低下など様々な悪影響が現れます。

低血糖は放置すると死に至るため、猫がご飯を食べないということは非常に危険な状態であると認識してください。

猫がご飯は食べないけど水は飲むときにするべき対処法6選

猫が水を飲むのに、ご飯だけ食べないときの対処法を6つご紹介します。

水分量が多く柔らかいフード・おやつを使用する

ドライフードなどのいつものフードから、水分量が多いウェットフードやおやつに変えてみるのも1つの方法です。

ドライフードとウェットフードを混ぜてみたり、猫用のスープでふやかしてみたりすると食いつきがよくなるケースがあります。

また、獣医師的にはジュレッタ がおすすめ  ↓ 


ジュレッタはペット栄養管理士が開発したゼリー状のおやつです。
「食べるお水」というコンセプトで開発された栄養満点なゼリーが犬猫の体を内側から潤してくれます。

私の飼っている猫もジュレッタは食いつきがよく、栄養補給と水分補給が同時にできます。いつものフードに添えたりおやつとして与えてみたりすると良いでしょう。スープとして与えることも可能です。

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嗜好性の高いフードに変更する

毎日同じフードばかり与えている場合は、嗜好性の高いフードに切り替えてみてください。
ポイントは、ヒューマングレードのドッグフード (タンパク源に猫の好きな新鮮な肉を多く含むため)やウェットフード (総合栄養食の記載があるもの)を選ぶこと。

これらのフードは価格が高めであることが多いので、週に2~3日いつものフードに混ぜて与えるミックスフィーディングを行えば経済的です。

猫は非常にグルメな動物なので、毎日同じものばかり食べていると
人間同様に味に飽きてしまいます。猫の食生活を彩るためにも、ご飯を食べない時は嗜好性の高いフードを試してみてください。

フードを温めてふやかす

フードを温めてふやかすのも非常に効果的です。
猫は犬同様に嗅覚が発達しており (人の数万倍以上)、匂いの強い食べ物に惹かれる習性があります。

方法は簡単で、耐熱皿にいつものフードを入れてお湯を注ぎ、サランラップで蓋をするだけ。5分程度待つとフードがふやけて匂いが強くなります。

火傷しないように温度を確認してからあげるようにしてください。温めたウェットフードを混ぜてスープ状にすると、水分も同時に補給できるためおすすめ です。 

フードの上におやつをトッピングする

フードの上に大好きなおやつを少量トッピングすると、猫がフードを食べようとするきっかけを作ることができます。

ただし、毎回おやつをトッピングしていると、おやつがないと
フードを食べなくなる可能性があるので、あくまでもフードを食べない時だけにしてください。

腎不全や消化器系疾患で食事療法を行っている場合は、食べることができないおやつがあるため、その場合は獣医師とよくご相談ください。

おやつの量を見直す

意外と多いのが、おやつのあげすぎで満腹となっているためフードを食べないパターンです。
一般的に、おやつは猫の1日に必要なカロリーの約20%以内に抑えることが推奨されています。
個人的には、20%はまだ多すぎると感じるため、5~10%以内に抑えることをおすすめしています。

誰か一人でもおやつをあげすぎると、食事制限の意味がないため、家族全員が「おやつをあげすぎない」という意識を持つことが大切です。

陶磁器製の食器に変える

猫の食器に使われる主な材質はプラスチック、ステンレス、陶磁器の3つですが、陶磁器が最も適していると言われています。

プラスチックは雑菌が繁殖しやすく不衛生であり、ステンレスは熱伝導性が高く、冬は氷のように冷たくなるため猫が避ける傾向にあります。

猫の食器として最も優れているのが陶磁器製で、雑菌が繁殖しにくく洗いやすいため非常に衛生的です。また、重量があるため猫にひっくり返されにくいというメリットもあります。

ステンレスの食器から陶磁器に変えただけで、一気にフードを食べるようになったというお話もよく聞くので、是非試してみてください。

まとめ

猫がご飯を食べない理由は様々考えられますが、多くの場合は飼い主様が少し工夫するだけで改善できることが多いです。

是非、今回ご紹介した6つのポイントを試していただければと思います。

一方で、子猫や老猫、闘病中の猫、肥満気味の猫がご飯を食べない場合は
低血糖や肝リピドーシスという危険な病気に発展する可能性があるため、
自宅で様子見をせずに速やかに動物病院を受診するようにしましょう。